ペインクリニックとは…
ペインクリニックとは…
ペインクリニックとは、文字通り、ペイン(痛み)のクリニック(診療所)という意味です。
「痛み」というのは、なかなか他人に理解されない症状であり、人知れず苦しむことも多いでしょう。
また「痛み」そのものが不安や恐怖、睡眠障害や意欲の低下、食欲の減退などを伴うやっかいな症状なのです。
「痛み」があることで、元の病気そのものが悪化することもあります。
したがって、「痛み」は我慢すべきものではなく、他の症状より優先して取り除くべき症状なのです。
こういった「痛み」を専門に扱い、診断・治療する診療科がペインクリニックで、
「痛み」に対しては、痛み止めや湿布だけでなく主に神経ブロックという手段を使って治療します。
なぜペインクリニック医は麻酔科医なのか…
現在の麻酔は随分と発展し、手術中の安全だけでなく術後の痛みも最小限にするように、
以前には行ってなかった様々な鎮痛法も行っています。
昔、腹部の手術をされ大変痛い経験をお持ちの方が、
最近再び手術をされ“嘘のように楽に手術後を過ごせた“との感想をいただくことがあります。
手術時の痛みを最小限にするための麻酔科医の知識や技術を利用した治療としてペインクリニックは進歩してきました。
痛みをとる知識と技術をいろいろな病気に対して利用するのがペインクリニックです。
よってペインクリニックの多くを麻酔科医が行っているのです。
「痛み」の種類
痛みは三つの種類に分けられます。
一つめは指を切ったときなどに感じる「侵害受容性疼痛」です。
切り傷、打撲、やけど、など私達が日常生活でよく経験する痛みの主な原因です。
これは身体に異常が発生したことを知らせる警告信号としての意味があります。
治療は、できるだけ原因の除去を行うことが大切で、日常使用される痛み止めの薬が良く効きます。
しかし、急性期の帯状疱疹のように、原因の除去が速やかに行えず激痛が続く場合、
早期に痛みの悪循環を遮断する神経ブロックを行い、神経の変性をできるだけくい止め、痛みを記憶させないことが大切です。
二つめは帯状疱疹などで神経が傷つけられた後に起こる「神経因性疼痛(ニューロパシックペイン)」です。
治療は、一般的な痛み止めの薬が無効なことが多く、抗うつ薬や抗けいれん薬などの特殊な薬が使われます。
神経ブロックを併用することにより、痛みがあまり気にならない程度まで軽減する場合が多いです。
三つめは、ストレスなど神経的なダメージにより起こる「心因性疼痛」です。
慢性的な痛みは、一つだけではなく、重なって起こることもあります。その場合は治療も難しくなります。
痛みはその経過が長いほど、精神的要素が深く関与してきます。
疲労やストレスでさらに症状が悪化します。
特に神経因性疼痛は慢性の痛みであり、この心因性疼痛と密接に関係します。治療は、薬物や精神療法が主体となります。
痛みの悪循環
痛みは我慢すると、さらに新しい痛みを呼び込んでしまいます。これを「痛みの悪循環」と呼びます。
一度、陥った悪循環は、神経ブロックも含めたさまざまな治療を施さないと断ち切れません。
また、栄養バランスの取れた食事や適度な運動や体操、必要十分な睡眠など、規則正しい生活習慣や、
明るく元気な気持ちで過ごすことが大切なことは言うまでもありません。
そして、痛くなったときにはできるだけ我慢せず、痛みの専門家に早く相談することをお薦めします。
悪循環が形成される前に治療することが慢性痛に悩まないためには必要なことなのです。
神経ブロック
神経ブロックは文字通り“神経を遮断する”治療法です。痛みを起こしている神経を探し、
神経に直接、またはその付近に特殊な針を用いて局所麻酔薬を注射します。
そうすることで痛みの信号が脳に伝わるのを遮断(ブロック)します。
直接、または近くに注射するため麻酔薬の量も少量で済み、副作用の心配も少ないのです。
麻酔薬の効き目は痛みをやわらげるとともに、緊張している筋肉を緩めます。
同時に、交感神経も遮断され血管が拡張します。そうすると血液の流れが良くなり、炎症も抑えられます。
すなわち、痛みの悪循環を断ち切るには最良の治療法なのです。
これを繰り返し行うことで痛みを効率よく治していくわけです。
さらに循環障害や麻痺など痛み以外の病気にも効果があります。
神経ブロック効果
神経ブロックの一番の効果は、痛みの元を断つことです。痛みの刺激を伝える神経そのものを遮断してしまうので、
刺激が脳に伝わらず、痛みを全く感じないようになります。
二番目の効果は、痛みの悪循環を断ち切ることです。神経ブロックで注射された局所麻酔薬などは、
痛みの刺激で興奮していた神経をしずめてくれます。
結果、痛みのために悪くなっていた血行が改善され、痛みを起こさす物質が洗い流されて、痛みの悪循環が起こらなくなるのです。
局所麻酔薬は2〜3時間で効き目が切れてしまいますが、その後も痛みが起こらないのはこのためです。
さらに、神経ブロックによって血行が改善されることで、抗ウイルス薬や抗炎症薬が患部に届き易くなる効果もあります。
神経ブロックを受けられない人は…
神経ブロックは、小学生ぐらいから、90歳以上の高齢者まで施行しています。
妊娠中でも可能です。年だから痛いのは当たり前だとあきらめる前に一度ペインクリニックを受診してみてはいかがでしょうか。
ただし、発熱時や局所麻酔薬にアレルギーがある人や抗凝固薬を服用している人は
ブロックの種類により裂けた方がよいこともあります。
次のような疾患の方、ご相談下さい。
1. 三叉神経痛・舌咽神経痛・非定型顔面痛・その他の顔面痛
2. 頭痛
3. むちうち・五十肩・変形性頚椎症・頚肩腕症候群・肩こり・その他の首・肩・腕の痛みやしびれ
4. 椎間板ヘルニア・脊椎管狭窄症・いわゆる腰痛症など腰や足の痛みやしびれ
5. 手や足の血行障害(レイノー症候群・しもやけ)
6. 手術や外傷後(カウザルギー・幻肢痛)の痛み
7. 帯状疱疹(痛みを伴った水疱)
8. 顔面神経麻痺(顔がゆがむ・顔に力が入らない)
9. 顔面けいれん(まぶたや口がピクピクする)
10. メニエール病・突発性難聴
11. 悪性腫瘍による痛み
12. アレルギー性鼻炎
痛みは危険から命を守る
痛みは大切なシグナルであると同時につらく苦しいものです。しかし、痛みとは、
さまざまな危険から生命を守るためのシグナルであることを知ってください。
そして、痛みの原因を知って正しく対処することによって、健康に生活できるのです。
ペインクリニックはまだ発展途上の学問・治療法です。こうしている間にも次々と新しい治療法が開発されてきています。
さまざまな強い痛みで苦しんでおられる場合、ご希望があれば、ご家族の方でも結構ですのでご相談させていただきます。
他の最良の治療法があれば、ペインクリニックだけでなく他の方法・診療科を紹介することも可能です。